大地の歌は、グスタフ・マーラーが1908年に作曲した、声楽(2人の独唱)を伴う
交響曲である。副題として「テノールとアルト(またはバリトン)とオーケストラ
のための交響曲」とあり、通常マーラーが9番目に作曲した交響曲として位置づけ
られる。交響曲としてはかなり破格の存在であり、「9番目の交響曲」であるという
点も影響してか、マーラーは「第 番」といった番号を与えなかった。
交響曲は、第9番を書くとその後、死ぬと言われる。
作曲は1908年。6楽章からなり、テノールとアルト(またはバリトン)が交互に
独唱をつとめる。
歌詞は、李白らによる唐詩に基づき、ドイツの詩人・翻訳家のハンス・ベートゲが
自由に翻訳・編集した詩集『中国の笛』から7編の詩を選び、これをマーラー自身が
適宜改変したものによっている。
マーラーがベートゲの『中国の笛』に出会ったのは作曲の前年1907年秋と
考えられるが、その年の夏、マーラーは長女マリア・アンナの死に遭い、
自身も心臓疾患の診断を受けていた。
同年暮れには、10年間務めてきたウィーン宮廷歌劇場の音楽監督を辞任し、
渡米するという転機を迎えている。
マーラーにとって、死が身近なものとなり、音楽活動だけでなく、実生活面でも
ヨーロッパとの訣別という心情があったと考えられる。
曲は6つの楽章からなり、奇数楽章にはテノールの、偶数楽章には、アルトまたは
バリトンの独唱が加わる。
この音楽を聴くと自殺者がでるかもしれないとマーラーが知人に述べたとも
伝えられている。
聴くCDは、もちろん ブルーノ・ワルター指揮のウイーンフィルだ
メゾ・ソプラノ:キャスリン・フェリアー
テノール:ユリウス・パツァーク
指揮:ブルーノ・ワルター
ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1952年、ウイーン楽友協会大ホール、DECCA盤、MONO録音)