タヒチとは、118の島々からなるヨーロッパ全域に匹敵する広大な島国である。
タヒチ島をはじめモーレア島やボラボラ島を含むソシエテ諸島、黒真珠の養殖で
知られるツアモツ諸島、北東に位置するマルキーズ諸島、さらに南回帰線上にある
オーストラル諸島とガンビエ諸島の5つの諸島に分けられている。
環の形=環礁
黒真珠(黒蝶真珠)は、パペーテのあるタヒチ本島から飛行機と船を乗り継いで
1日がかりのツアモツ諸島やガンビエ諸島などの環礁で養殖されている。
真珠の母貝がクロチョウガイ(黒蝶)2枚貝で開くと蝶の形になるので黒蝶貝と
呼ばれるのである。学術名はPinctade margaritifera マルガリータ=真珠を意味する
タヒチで黒真珠の養殖が始まったのは、1970年代の半ばのことであり、
歴史はまだまだ浅い。真珠組合でも最初の記録は、わずか2000個の生産しか
なかった。
1980年代90年代と養殖技術の向上と母貝の確保で大幅に黒真珠の生産量が
増えていった。
創成期の20年ほど前、調査で養殖場まで行ったことがある。パペーテから2時間ほど
飛行機で飛び、そこから本来なら船で6時間ほどかかるのであるが、養殖業者の社長が
一緒だったので、特別にヘリコプターをチャーターし養殖場まで飛んだ。
この養殖場に数日滞在して、黒蝶真珠の養殖の現場で確認した体験は貴重なものと
なった。
当時タヒチの黒真珠を指導していたのが、横溝節夫氏そして、タヒチ・ポエ・ラヴァ・
ヌイ所属の水野敬一氏である。タヒチの黒真珠の父ともいえる人物でお二人とも
東京水産大学増殖科卒業の専門家である。
お二人とは、何度もお会いして、多くのアドバイスを受けたこと大変感謝している。
そして黒真珠を買い付け日本で商品化していったので、私自身でも多少はタヒチの
経済に貢献したと自負している。